## キケロの弁論術についての面白さ
キケロの弁論術とは
古代ローマの政治家、哲学者、そして何よりも有名な弁論家であったマルクス・トゥッリウス・キケロ。 彼は弁論術に関する多くの著作を残しており、その中でも特に重要なのが『デ・オラトーレ』(弁論家について)、『オラトル』(雄弁家)、そして『トピカ』です。 これらの著作で展開されるキケロの弁論術は、単なるテクニック論に留まらず、 雄弁家のあるべき姿、そして政治や社会におけるその役割について深く考察したものでした。
古代ローマ社会における弁論術の重要性
古代ローマにおいて、弁論術は単なる話術ではなく、政治、法律、社会生活のあらゆる場面で必要とされる必須の教養でした。 法廷で自己を弁護するため、元老院で政治的主張を行うため、 はたまた葬儀で故人を偲ぶ言葉を送るためなど、 あらゆる場面で説得力のある演説が求められました。 キケロ自身、その卓越した弁論術によって数々の政治的陰謀を退け、 ローマの政治舞台で重要な役割を果たしました。
キケロの弁論術:理想の雄弁家を求めて
キケロの弁論術は、単に聴衆を説得するためのテクニックを論じるものではありません。 彼はギリシャの修辞学を継承しつつも、 ローマの現実社会に即した実践的な雄弁術を体系化しようとしました。 特に重視されたのは、広範な教養、道徳性、そして国家への奉仕の精神でした。 キケロは、理想の雄弁家を「ウィル・ボヌス」(善良な人間)であると定義し、 単なる話術の巧みさだけでなく、 高潔な人格と深い教養に裏打ちされた言葉こそが真の雄弁であると説いたのです。
『デ・オラトーレ』に見る弁論術の理想と現実
『デ・オラトーレ』は、対話篇という形式を用いて、 理想の雄弁家像について多角的に論じた作品です。 作中では、当時のローマを代表する知識人たちが 理想の雄弁家の資質や、 弁論術を学ぶ上で必要な教養などについて 白熱した議論を繰り広げます。 また、単なる理論だけでなく、歴史上の名演説を例に挙げながら、 具体的なテクニックについても解説がなされており、 キケロの弁論術の全体像を理解する上で欠かせない作品となっています。
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