## キケロの友情についてと人間
###
キケロにおける友情の定義
キケロは、その著作『友情について』(De Amicitia)の中で、友情を「あらゆる人生の事情において示される、互いへの善意と愛情から生まれる、高潔な人々の間の完全な一致」と定義しています。
###
友情の必要性と利点
キケロにとって友情は単なる楽しみや慰めを超えた、人間にとって必要不可欠なものでした。彼は、友情がもたらす多くの利点を説いています。例えば、
* **精神的な支えと慰め:** 困難な時や苦難に直面した時、真の友は互いに支え合い、慰め合い、励まし合うことができます。
* **知的な刺激と成長:** 友情は、互いに意見を交換し、議論し、学び合うことで、知的な刺激と成長を促進します。
* **健全な判断と行動の促進:** 真の友は、互いに正直な意見を述べ合い、誤りを正し合い、より良い判断と行動へと導くことができます。
* **人生の喜びと豊かさの増大:** 友情は、喜びを分かち合い、悲しみを和らげ、人生をより豊かで意味のあるものにします。
###
真の友情の条件
キケロは、真の友情には以下の条件が必要であると説いています。
* **徳:** 真の友情は、共通の価値観や道徳観に基づいて築かれます。キケロは、特に正義、誠実さ、忠実さ、勇気といった徳目を重視していました。
* **互恵性:** 真の友情は一方的なものではなく、互いに愛情、尊敬、善意を持って接し合う関係です。
* **時間:** 真の友情は、一朝一夕に築かれるものではなく、長い時間をかけて育まれるものです。
###
友情と人間
キケロは、人間は本質的に社会的な動物であり、他者とのつながりを求める生き物であると信じていました。
彼は、友情を人間関係の最高峰とみなし、真の友情を持つことは、人間としての幸福と完成のために不可欠であると考えていました。