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キケロの共和国についての位置づけ

## キケロの共和国についての位置づけ

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**執筆の背景**

「キケロの共和国について」(De re publica) は、古代ローマの政治家、哲学者、文筆家であったマルクス・トゥッリウス・キケロによって紀元前54年から51年の間に執筆されました。この時期は、ローマ共和国が内乱の危機に瀕し、共和制の理念と現実の政治との間で深刻な矛盾を抱えていた時代でした。キケロ自身も、混乱する政局の中で政治家としての立場が危うくなっていました。

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**著作の構成と内容**

「共和国について」は、対話形式で書かれた哲学的著作であり、プラトンの「国家」の影響を強く受けています。全6巻から構成されていましたが、現在では大部分が失われており、完全な形で現存しているのは第1巻から第3巻の始めと、第5巻、第6巻の一部のみです。

著作の中では、理想的な国家のあり方、正義、法、義務、市民の美徳、優れた政治家の資質など、政治哲学の中心的なテーマが幅広く論じられています。特に有名なのは、第3巻に収められた「スキピオの夢」と呼ばれる部分で、ここでは宇宙の構造と人間の魂の不死、そして公共奉仕の重要性が説かれています。

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**共和制論**

「共和国について」の中心的なテーマは、共和制の擁護と、ローマの伝統的な価値観の重要性の主張です。キケロは、最良の政体は、君主制、貴族制、民主制の長所を組み合わせた混合政体であると論じ、ローマ共和国の政治体制を高く評価しました。彼はまた、共和制を支えるためには、市民一人ひとりが公共心に基づいて行動し、国家への奉仕を優先することが不可欠であると強調しました。

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**影響**

「共和国について」は、古代ローマの政治思想を代表する重要な著作として、後世に大きな影響を与えました。特に、ルネサンス期以降、共和制の理念が再び注目されるようになると、本書は広く読まれ、議論の対象となりました。マキャベリをはじめとする多くの政治思想家が、キケロの思想から影響を受けています。

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読書意欲が高いうちに読むと理解度が高まります。

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