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キケロの『友情について』の話法

## キケロの『友情について』の話法

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対話篇という形式

『友情について』は、古代ローマの雄弁家であり、哲学者、政治家でもあったマルクス・トゥッリウス・キケロによって紀元前44年に執筆された哲学対話篇です。キケロはプラトンの対話篇に倣い、登場人物たちの対話を通して友情の本質、価値、維持方法などを論じています。

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レアリティーと劇的効果の追求

登場人物には、ローマで実際に尊敬を集めていた人物、ガイウス・レピドゥス、ガイウス・ファンニウス、クィントゥス・ムキウス・スカエウォラが選ばれています。彼らは故人であり、作中ではレピドゥスの死を悼むファンニウスとスカエウォラが、彼の思い出話として友情について語り合います。実在の人物を登場させることで、キケロは読者に強いリアリティーを感じさせ、登場人物たちの言葉に重みを与えています。また、レピドゥスは存命中に友情について独自の考えを持つ人物として描かれており、彼の死後、友人たちがその考えを振り返るという設定が、物語に深みと劇的な効果をもたらしています。

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雄弁術の技巧を凝らした修辞

キケロは、古代ローマで最も優れた弁論家の一人とされ、雄弁術に精通していました。その知識と経験は、『友情について』の文章にも色濃く反映されています。作中では、比喩、反語、擬声語や擬態語などの修辞技法が多用され、登場人物の感情の動きや、論理の展開が鮮やかに表現されています。特に、友情の素晴らしさを讃える場面や、偽りの友情を批判する場面では、キケロの雄弁術の技巧が遺憾なく発揮され、読者に強い印象を与えます。

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