## キケロの『共和国について』の美
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美と調和
キケロは『共和国について』において、宇宙と国家を含むあらゆる存在に内在する秩序と調和こそが美の根源であると説いています。彼はプラトンの思想を継承し、真・善・美が不可分で相互に依存し合うものと考えていました。
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理想国家の美
キケロは、理想的な国家体制である「混合政体」こそが最も美しいと主張しました。これは、王政・貴族政・民政の要素をバランス良く組み合わせた体制であり、各要素の長所を生かしつつ短所を補い合うことで、国家に安定と繁栄をもたらすと考えました。
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正義と法の美
キケロにとって、正義と法は国家の美を支える重要な柱でした。彼は自然法の概念を導入し、普遍的な正義の原則は人間の理性によって認識できるとしました。そして、この自然法に基づいた法治国家こそが真に美しい国家であると主張しました。
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政治家の美徳
キケロは、理想的な政治家像として「賢者王」を提示しました。彼は、知性・正義・勇気・節制といった古典的な美徳を兼ね備え、公共の利益のために献身的に尽くす政治家こそが国家を美しく導くと考えました。