ガルブレイスの新しい産業国家の原点
ガルブレイスの生い立ちと時代背景
ジョン・ケネス・ガルブレイス(John Kenneth Galbraith、1908-2006)は、カナダ生まれのアメリカ人経済学者です。彼は、ハーバード大学で経済学を学び、ニューディール政策や第二次世界大戦中の戦時経済政策に携わりました。
「アメリカの資本主義」の影響
1952年に発表されたガルブレイスの著書『アメリカの資本主義』は、大企業の台頭と市場メカニズムの変化を分析し、大きな反響を呼びました。彼は、現代の資本主義は、少数の巨大企業が市場を支配する「企業資本主義」へと変貌を遂げていると主張しました。この考えは、「新しい産業国家」の理論的な基礎となりました。
「新しい産業国家」の出版
1967年に出版された『新しい産業国家』は、ガルブレイスの代表作とされ、現代資本主義の分析として大きな影響を与えました。彼は、大企業における「テクノ構造」の台頭と、それがもたらす経済・社会への影響を詳細に論じています。
「テクノ構造」概念の重要性
「テクノ構造」とは、企業内で意思決定を行う専門知識を持つ技術者や管理者の集団を指します。ガルブレイスは、現代の大企業においては、資本家ではなく、このテクノ構造が重要な役割を果たしていると主張しました。