## ガルブレイスの不確実性の時代の力
経済学者のジョン・ケネス・ガルブレイスは、その著作「不確実性の時代」の中で、経済理論、特に1970年代初頭に主流であった新古典派総合に内在する限界を批判しました。
ガルブレイスは、新古典派経済学は、完全競争、完全情報、合理的な経済主体の存在といった非現実的な仮定に基づいていると主張しました。彼は、現実の世界は不確実性、不完全な競争、そして企業や労働組合などの強力な経済主体によって特徴付けられていると主張しました。
ガルブレイスの最も重要な主張の一つは、「確実性の前提」に対する批判でした。
彼は、経済学者は、特に長期的な経済予測において、確実性を装う傾向があると主張しました。しかし、現実の世界では、予測不可能な出来事や予期せぬ結果が常に存在します。
彼は、企業の規模と力が拡大するにつれて、市場に対する影響力も増大すると主張しました。
これは、企業が価格や生産量を操作し、消費者に影響を与える力を持ち、完全競争の仮定を覆すことを意味します。
ガルブレイスはまた、「テクノストラクチャー」の概念を導入しました。
テクノストラクチャーとは、企業の意思決定を行う、専門知識と経験を持つ技術者、管理者、専門家のグループを指します。彼は、テクノストラクチャーが企業の目標を、株主の利益の最大化から、自身の権力と成長の追求へと変化させると主張しました。
「不確実性の時代」は、当時の経済学界に大きな影響を与え、広く読まれ議論の的となりました。
ガルブレイスの著作は、経済学における不確実性の役割、企業の力、そして経済における権力の集中といった重要な問題に光を当てました。