## ガルブレイスの不確実性の時代から学ぶ時代性
経済予測の限界と不確実性の増大
ガルブレイスは、1970年代の経済状況を分析し、「不確実性の時代」と特徴づけました。彼は、従来の経済学が前提としてきた完全競争や予測可能性が崩れ去り、不確実性と不安定性が増大していると指摘しました。これは、オイルショックやベトナム戦争の影響、ブレトンウッズ体制の崩壊など、世界経済に大きな変動をもたらす出来事が相次いだためです。
ガルブレイスは、このような状況下では、政府や企業は過去のデータに基づいた予測や計画に頼ることはできず、常に変化に対応できる柔軟性を持つことが重要であると主張しました。彼はまた、経済学は不確実性という要素を正面から受け止め、より現実的な分析を行う必要があると訴えました。
巨大企業の影響力とテクノ構造
ガルブレイスは、現代社会における巨大企業の影響力の増大にも注目しました。彼は、現代の経済活動は、もはや古典的な市場メカニズムによってではなく、大企業が形成する「テクノ構造」によって支配されていると主張しました。テクノ構造とは、企業内部の技術者や専門家集団が、生産からマーケティングまでの一連のプロセスを管理する体制を指します。
ガルブレイスによれば、テクノ構造は、その巨大な規模と高度な専門知識によって、市場をコントロールし、消費者の需要を操作することさえ可能にします。彼は、このような巨大企業の影響力の増大が、経済的不平等や社会の不安定化につながる可能性を警告しました。
現代社会への示唆:不確実性と向き合う
「不確実性の時代」は、1970年代に書かれた本ですが、その洞察は現代社会にも通じるものがあります。グローバリゼーションの進展、情報技術の革新、気候変動など、現代社会はますます複雑化し、予測不可能なものとなっています。
ガルブレイスの主張は、現代社会においても、過去の成功体験にしがみつくことなく、常に変化を予測し、柔軟に対応していくことの重要性を教えてくれます。また、巨大企業の影響力や技術革新が社会に及ぼす影響について、批判的な視点を持ち続けることの必要性も示唆しています。