Skip to content Skip to footer

ガダマーの真理と方法の構成

ガダマーの真理と方法の構成

第1部 真理と方法の問題―解釈学における哲学的諸前提

第1部は、「真理と方法」という書物の主題が提起され、近代における美的意識の自律化という歴史的文脈を背景に、美的認識のみならず歴史的認識においても方法的に捉えられない真理の次元が問われます。

第1章「真理と方法の問題提起」では、近代における美学の成立を背景に、美的認識の真理性をいかに捉えるかという問題が提起されます。近代美学は、美的認識を主観の能力に還元することで、美的認識を他の認識と区別しようとしました。しかし、芸術作品の真理は、そのような主観的能力によって捉えきれるものではありません。

第2章「解釈学の概念―ロマン主義的解釈学から解釈学の原理へ」では、シュライアマハーからディルタイにいたるロマン主義的解釈学を検討し、その限界と可能性を明らかにします。ロマン主義的解釈学は、作者の内的体験を再現することを目標としますが、解釈者が自分の歴史性を超えて作者の立場に立つことは不可能です。

第3章「解釈学の任務としての論理学―アリストテレスにおける範例」では、アリストテレスの論理学、特にトピカと弁論術を分析することで、解釈学の基礎となる論理を明らかにします。アリストテレスは、弁論における説得のプロセスを分析することで、共通理解を形成するための論理を提示しました。

第2部 経験と理性―ヘーゲルの哲学における経験と弁証法の概念

第2部では、ヘーゲルの弁証法を取り上げ、経験と理性、伝統と歴史性という観点から批判的に検討します。ガダマーは、ヘーゲルが歴史性を弁証法的理性に解消しようとした点に限界を見出します。

第3部 歴史的認識の構造

第3部では、歴史的認識の構造が分析され、歴史的認識における解釈の役割が明らかにされます。歴史的認識は、単なる過去の客観的な認識ではなく、歴史と現在との対話を通じて成立します。

第1章「歴史主義と歴史性」では、歴史主義の功罪を検討し、歴史的認識における歴史性の概念を明確化します。歴史主義は、歴史を客観的に認識しようとする試みでしたが、それは歴史認識における解釈者の歴史性を無視したものでした。

第2章「歴史的意識の構造」では、歴史的認識における解釈者の立場を「効果歴史」の概念を用いて分析します。効果歴史とは、過去の出来事が現在にまで影響を及ぼし続けていることを指します。

第3章「伝統の概念」では、歴史と現在を媒介するものとしての伝統の概念を分析します。伝統は、過去の単なる伝承ではなく、現在においても解釈され、再解釈されることによって生き続けるものです。

補遺

補遺では、解釈学の現代における意義が論じられ、特に社会科学における解釈学の可能性が示唆されます。

Amazonで購入する

Leave a comment

0.0/5