## ガダマーの真理と方法の企画書
企画概要
本企画は、20世紀の哲学界において重要な位置を占めることになるであろう、ハンス・ゲオルク・ガダマーの主著「真理と方法」の出版を提案するものです。著者は、ハイデガーの存在論的解釈学を継承しつつ、芸術経験を中心とした独自の解釈学を展開し、従来の認識論的な真理概念を超克する新たな真理理解を提示します。
企画背景
20世紀初、フッサールの現象学を出発点として、ハイデガーは人間存在の根本的なあり方を時間性において捉え直す存在論を展開しました。このハイデガーの存在論は、その後の哲学のみならず、文学、芸術、神学など幅広い分野に多大な影響を与えました。しかし、ハイデガー自身は、その思想を体系的にまとめた著作を残すことなく、ナチスへの加担など、その思想と行動は多くの論争を巻き起こしました。
このような状況において、ハイデガーの思想を批判的に継承し、新たな解釈学を展開しようとする動きが生まれてきました。その中でも、特に注目すべき人物の一人が、本書の著者であるハンス・ゲオルク・ガダマーです。
著者について
ハンス・ゲオルク・ガダマーは、1900年ドイツに生まれました。マルティン・ハイデガー、パウル・ナトルプ、ルドルフ・ブルトマンに師事し、ハイデガーの存在論とフッサールの現象学に基づいた哲学的解釈学を展開しました。特に、芸術経験における真理の現れ方に着目し、従来の主観主義的、客観主義的な真理概念を超える、新たな真理理解を提示しました。
本書の内容
本書「真理と方法」は、ガダマー解釈学の集大成と呼ぶべき著作です。本書においてガダマーは、従来の認識論的な真理概念を批判的に検討し、芸術経験を中心とした独自の解釈学を展開します。
ガダマーは、芸術作品との出会いは、我々の先入見や偏見を揺さぶり、新たな地平を開く経験であると主張します。この経験を通して、我々は自己を相対化し、世界に対する新たな理解を獲得することができるのです。
本書は、以下の章立てで構成されます。
* 第一部 真理と方法の問題
* 第一章 真理と方法
* 第二章 解釈学の理念
* 第三章 解釈学の任務
* 第二部 解釈学の理念の歴史的展開
* 第四章 解釈学と修辞学
* 第五章 解釈学と神学
* 第六章 解釈学と歴史主義
* 第三部 解釈学の言語論的展開
* 第七章 言語の普遍性
* 第八章 解釈学としての言語
* 第九章 解釈学と哲学
本書の意義
本書は、20世紀後半における解釈学の金字塔として、哲学、文学、歴史学、神学、法学、社会学など、人文・社会科学の幅広い分野に多大な影響を与えました。また、現代社会における対話やコミュニケーションの重要性がますます高まる中で、本書の示す解釈学的対話の思想は、現代社会における諸問題を解決するための重要な手がかりを与えてくれるものと期待されます。