## カーネマンのファスト&スローを面白く読む方法
「ファスト&スロー」は、行動経済学の金字塔と言われる名著ですが、500ページを超えるボリュームで、専門用語も少なくないため、読み通すのが大変だと感じる方もいるかもしれません。しかし、読み方を工夫すれば、この刺激的な内容を楽しみながら理解を深めることができます。
思考のクセに気づき、自分の行動と照らし合わせてみる
本書の最大の魅力は、私たちの思考のクセを具体的な例を交えながら、分かりやすく解説している点にあります。本書で紹介される数々の実験や例は、どれも私たちの日常で起こりうるものばかりです。
例えば、「損失回避」の例として、1,000円を失うことの心理的なダメージは、1,000円を得ることの喜びの2倍以上であるという研究結果が紹介されています。
本書を読み進める際には、こうした例を自分自身の経験と照らし合わせてみてください。「自分はこんな時、どう感じるだろう?」「過去の自分の行動は、このバイアスに影響されていたのかも?」と考えることで、内容がより身近に感じられ、興味深く読み進めることができます。
図解やメモを活用して理解を深める
本書には、「プライミング効果」「アンカリング効果」「フレーミング効果」など、重要な心理学用語が多数登場します。これらの用語を単に暗記するのではなく、図解やメモを活用することで、より深く理解することができます。
例えば、「システム1」「システム2」という重要な概念は、それぞれの特徴を図にまとめたり、自分の言葉で簡潔に説明したりすることで、記憶に残りやすくなるでしょう。
実験に参加しているつもりで読む
本書では、様々な心理学実験が紹介されています。これらの実験を、ただ「読む」のではなく、自分が「参加している」と想像しながら読み進めてみてください。
例えば、「リンダ問題」のように、問題に対して自分ならどう答えるかを考えながら読み進めることで、思考プロセスを意識化することができます。そして、自分の直感が必ずしも正しいとは限らないという事実に気づかされるでしょう。
このように、本書を「読む」だけでなく、五感を使いながら積極的に「体験」することで、内容がより深く理解できるだけでなく、読み進めること自体を楽しむことができます。