カーソンの沈黙の春の対極
ノーマン・ボーローグの「緑の革命」
レイチェル・カーソンの『沈黙の春』が農薬の危険性を告発し、環境保護運動の隆盛に貢献したのに対し、ノーマン・ボーローグの功績は「緑の革命」と呼ばれる農業革命を通じて、世界の人口増加による食糧危機の回避に貢献した点にあります。
高収量品種と化学肥料の導入
ボーローグは、小麦の品種改良と栽培技術の改善に生涯を捧げました。彼が開発した高収量品種は、従来の品種よりも背が低く、倒伏しにくいため、化学肥料を大量に与えても収穫前に倒れてしまうことがありませんでした。
メキシコ、インド、パキスタンでの成功
1940年代、ボーローグはロックフェラー財団の支援を受けてメキシコで小麦の品種改良に取り組み、さび病に強い高収量品種の開発に成功しました。この品種はメキシコ国内だけでなく、その後、インドやパキスタンなど、食糧不足に苦しむアジアの国々にも広まりました。
「緑の革命」の功罪
ボーローグの功績により、世界的な食糧生産は飛躍的に増加し、多くの人々の命が救われました。しかし、その一方で、化学肥料や農薬の大量使用による環境への負荷増大や、伝統的な農業の衰退といった問題も指摘されています。