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カントの永遠平和のために

## カントの永遠平和のために

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第一部 永遠平和のための予備条項

第一部は、**「国家間の永遠平和のための予備条項」** と題され、6つの条項から構成されています。これは、戦争の発生を抑制するための暫定的あるいは消極的な条件であり、将来に向けて段階的に実現されるべきものです。

* **第1条項**: 「平和条約は、将来の戦争の種を残すような秘密条項を含んではならない」
これは、国家間の条約は、将来的な紛争の火種となるような曖昧な内容や隠された条項を含まず、明確かつ公正なものでなければならないことを示しています。

* **第2条項**: 「いかなる独立国も、それが継承であろうと交換であろうと、あるいは購入であろうと、他の国家を他の国家の所有物として取得してはならない」
国家は、他の国家の自由と独立を尊重し、武力や強制力によって他の国家を支配下に置くべきではないという考えを示しています。

* **第3条項**: 「常備軍(militia perpetua)は、時とともに完全に廃止されなければならない」
常備軍は、常に戦争の準備をしている状態であり、それが国際的な緊張を高め、戦争の危険性を増大させるとカントは考えていました。

* **第4条項**: 「国家は、他国の体制に対して武力を用いたり、干渉したりしてはならない」
各国家は、それぞれ独自の政治体制や統治方法を持つ権利を有しており、他国がそれを武力によって変えようとすることは許されないことを意味しています。

* **第5条項**: 「各国家は、自国の市民に対する債務においても、他の国家との今後の平和を危うくするようなやり方で行動してはならない」
国家は、自国の経済活動を、他の国家との関係においても、戦争の誘因となるような形で行ってはならないことを示しています。

* **第6条項**: 「いかなる国家も、他の国家と戦争状態にあるときには、平和状態において相互の信頼を不可能にするような敵対行為をしてはならない」
戦争状態においても、将来の平和構築を不可能にするような残虐行為や裏切り行為は避け、一定の道徳的制約を設けるべきであると主張しています。

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第二部 永遠平和のための確定条項

第二部は、**「国家間の永遠平和のための確定条項」** と題され、3つの条項から構成されます。これは、永遠平和を実現するためのより積極的かつ恒久的な条件を示しています。

* **第1条項**: 「あらゆる国家の市民的体制は、共和制でなければならない」
カントは、共和制においてのみ、戦争などの重要な決定が市民の同意に基づいて行われるため、平和が実現されると考えました。

* **第2条項**: 「国際法は、自由な諸国家の連邦に基づいていなければならない」
国家間の紛争を解決し、平和を維持するためには、国際的な法秩序と、それを支える国際機関が必要不可欠であるとカントは考えました。

* **第3条項**: 「世界市民法は、普遍的な歓待の条件に限定されなければならない」
これは、国家は、他国からの訪問者に対して、人道的な扱いと一定の権利を保障すべきであることを意味しています。

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付録

「永遠平和のために」には、2つの付録が付け加えられています。

* **第一付録**: 「永遠平和の保証について」
永遠平和は、人間の理性に基づいた道徳的な要請であると同時に、歴史の進歩によってもたらされる現実的な目標であるとカントは論じています。

* **第二付録**: 「政治と道徳との関連についての秘密について」
政治と道徳は、一見対立するように見えるが、真の政治は道徳に基づいていなければならないとカントは主張しています。

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