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カントの実践理性批判の関連著作

カントの実践理性批判の関連著作

アリストテレス『ニコマコス倫理学』

古代ギリシャの哲学者アリストテレスによる倫理学の古典。人間の幸福(エウダイモニア)を目的とし、それを実現するために必要な徳(アレテー)について論じている。カントの道徳哲学も、人間の行為の目的を幸福ではなく、「義務」という概念に求めるところに特徴があるものの、理性に基づいた倫理学を構築しようとした点において、アリストテレスの影響は無視できない。特に、人間の理性に基づいた行為の選択と、習慣によって形成される徳の概念は、カントの道徳思想の形成に影響を与えたと考えられる。

トマス・ホッブズ『レヴァイアサン』

イギリスの哲学者トマス・ホッブズの主著。自然状態における人間の闘争を克服するために、絶対的な主権を持つ国家の必要性を説いた。カントはホッブズと同様に、人間の理性には利己的な側面を認めている。しかしホッブズが、国家による強制力を道徳の基礎に置いたのに対し、カントは、個々人の自律的な理性に基づく道徳の普遍性を主張した。この点において両者の思想は対照的である。

デイヴィッド・ヒューム『人性論』

イギリスの哲学者デイヴィッド・ヒュームの主著。経験論の立場から、人間の道徳感情の起源を解明しようと試みた。カントはヒュームの思想から大きな影響を受けたとされ、「実践理性批判」の序文において、ヒュームの懐疑主義から独断論的 slumber を覚まされたと述べている。ヒュームが道徳判断の根拠を感情に置いたのに対し、カントは理性に求め、「義務」の概念を基礎とする道徳哲学を展開した。

ジャン・ジャック・ルソー『社会契約論』

フランスの哲学者ジャン・ジャック・ルソーの政治哲学書。個人の自由と社会秩序の両立を目指し、一般意志に基づく社会契約論を展開した。カントはルソーの思想から、人間の尊厳と自由の重視という点で影響を受けたと考えられる。特に、個人の自律性を重視するカントの道徳哲学は、ルソーの自由と自律性の思想と共鳴する部分がある。

イマヌエル・カント『純粋理性批判』

カント自身の認識論の主著。「実践理性批判」と対になる作品であり、人間の理性には、認識能力に限界があることを論じた。カントは、「純粋理性批判」において、形而上学的な知識の獲得を不可能としながらも、「実践理性批判」において、道徳的な実践理性を通じて自由や神の存在を要請できると主張している。この点において、両作品は互いに補完し合う関係にあると言える。

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