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カントの人倫の形而上学・法論の関連著作

カントの人倫の形而上学・法論の関連著作

**トマス・ホッブズ『リヴァイアサン』**

トマス・ホッブズの『リヴァイアサン』(1651年)は、社会契約論の古典として知られ、カントの道徳哲学にも大きな影響を与えました。ホッブズは、人間は本質的に自己保存と快楽を求める利己的な存在であり、自然状態では「万人の万人に対する闘争」状態に陥ると主張しました。

この闘争状態を克服し、安全と秩序を確保するために、人々は互いに契約を結び、絶対的な権力を持つ主権者に服従することを選択します。ホッブズにとって、正義や道徳は自然に存在するものではなく、この社会契約によって初めて成立します。

**ジョン・ロック『統治二論』**

ジョン・ロックの『統治二論』(1689年)もまた、社会契約論の重要な著作であり、カントの思想に影響を与えました。ロックは、ホッブズと同様に、自然状態における人間の自由と平等を認めます。

しかし、ホッブズとは異なり、ロックは自然状態においても自然法が成立し、生命、自由、財産に対する権利が保障されていると主張します。人々はこれらの権利を守るために、社会契約によって政府を設立しますが、政府の権力は制限されなければならず、もし政府が人々の権利を侵害するならば、人民は抵抗する権利を持つとされます。

**ジャン=ジャック・ルソー『社会契約論』**

ジャン=ジャック・ルソーの『社会契約論』(1762年)は、社会契約論をさらに発展させ、カントの道徳哲学に大きな影響を与えました。ルソーは、人間は本来は自由で平等な存在であったが、文明の発達とともに私的所有や不平等が生じ、人間は堕落したと主張しました。

ルソーは、真の自由を実現するためには、人々が「一般意志」に基づいて社会を形成し、それに従って生きる必要があると考えました。「一般意志」とは、共同体の共通の利益を追求する意志であり、個々の成員の私的な利益とは区別されます。

これらの著作は、いずれも人間の自由と道徳、社会のあり方について考察しており、カントはこれらの先行する思想を批判的に継承しながら、独自の道徳哲学を構築していきました。

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