カルヴィーノの見えない都市のメカニズム
マルコ・ポーロとフビライ・ハーンの対話
本書は、旅行家マルコ・ポーロが、元朝の皇帝フビライ・ハーンに訪れた都市について語るという体裁をとっています。二人の対話は、全編を通じて断続的に挿入されます。ポーロの語る都市は、実在する都市ではなく、想像上の都市です。
都市の分類
本書に登場する都市は、55の都市について描かれており、それらは11のテーマごとに分類され、9つの章に配置されています。各章は、冒頭と最後にマルコ・ポーロとフビライ・ハーンの対話が置かれ、その間に1つのテーマに属する5つの都市についての記述が挟み込まれます。
チェス盤のような構成
都市の記述と対話の配置は、チェス盤のような規則的なパターンとなっています。
例えば、第1章には「記憶」をテーマとした都市群の記述が、第2章には「欲望」をテーマとした都市群の記述が続きます。
都市の記述
それぞれの都市は、短い断片的な文章で描写されます。都市の描写は、視覚的、聴覚的、嗅覚的など、五感を刺激するようなイメージに富んでいます。
寓意性
作中の都市は、具体的な地名を持たず、抽象的な名前で呼ばれています。それぞれの都市は、人間の記憶、欲望、希望、恐怖といった抽象的な概念を象徴していると考えられます。
開かれた構造
本書には、明確なストーリー展開や結論が存在しません。読者は、自由に都市の記述を読み進め、それぞれの都市のイメージを自由に解釈することができます。
Amazonで詳細を見る
読書意欲が高いうちに読むと理解度が高まります。