カルヴィーノの木のぼり男爵を読む
あらすじ
コジモ・ピオヴァ―スコ・ディ・ロンドー伯爵家の次男坊コジモは、12歳のとき、厳格な父親への反抗心から、樫の木に登り、そのまま木の上での生活を始めます。 地上に戻ることなく、木の上で彼は狩猟や読書、恋愛、そして世界との交流を経験し、独自の哲学を築き上げていきます。
時代背景と舞台
物語の舞台は18世紀後半から19世紀初頭のイタリアです。 この時代は、フランス革命やナポレオン戦争など激動の時代であり、イタリア半島もその影響を受けました。 作中では、コジモがナポレオン軍と遭遇する場面も描かれています。
登場人物
* **コジモ・ピオヴァ―スコ・ディ・ロンドー:** 本作の主人公。 12歳の時に木に登り、生涯をそこで過ごします。
* **ビアージョ・ピオヴァ―スコ・ディ・ロンドー:** コジモの弟であり、物語の語り手でもあります。
* **コルラッド侯爵夫妻:** コジモの両親。 厳格な父親と、息子思いの母親。
テーマ
* **自由と束縛:** 木の上での生活という特異な選択を通して、社会や常識からの自由、そして自己決定と責任について考えさせられます。
* **現実と幻想:** コジモの木の上での生活は、現実世界と切り離された幻想的な側面を持つ一方で、戦争や革命といった現実社会と無縁ではありません。 この対比を通して、現実と幻想の境界線について問いかけています。
* **成長と変化:** コジモは木の上での生活を通して、様々な経験をし、人間として成長していきます。
作風
* **寓話性:** 現実にはありえない設定ながらも、人間の普遍的なテーマを扱っています。
* **ユーモア:** コジモの奇想天外な行動や、彼を取り巻く個性的な登場人物たちのやり取りには、ユーモアが溢れています。
影響
* **現代社会への批評:** 本作は、現代社会における物質主義や人間関係の希薄さに対する風刺とも解釈されています。
* **自己啓発:** コジモの生き方は、型にはまらない生き方や、自分自身の道を切り開くことの大切さを教えてくれます。