カルヴァンのキリスト教綱要の関連著作
マルティン・ルター著「キリスト者の自由について」 (1520年)
「キリスト教綱要」と同様に宗教改革期に書かれた本書は、ルターの神学における中心的教義である「信仰義認説」を明確に表明したものです。ルターは、人間は神の恵みと信仰のみによって義とされ、善行は救済の必要条件ではないと主張しました。これは、救済は信仰と善行によって得られると教えていた当時のカトリック教会の教義に真っ向から反対するものでした。
ルターはまた、本書において、真のキリスト者は「すべてのものに自由であると同時に、すべてのものに仕える者である」という「福音における自由」の概念を展開しています。これは、キリスト者は罪と死の束縛から解放され、神と隣人に自由に仕えることができるという意味です。
フルドリッヒ・ツヴィングリ著「67箇条提題」 (1523年)
スイスの宗教改革者であるツヴィングリがチューリッヒで行った公開討論のために執筆した「67箇条提題」は、カトリック教会の教義や慣習に対する異議を体系的にまとめたものでした。ツヴィングリは聖書の権威を強調し、聖書に明示的に述べられていないあらゆる教義や実践を拒絶するよう求めていました。
この提題は、聖餐式の解釈をめぐるツヴィングリとルターの論争の火種となりました。ツヴィングリは、聖餐式はキリストの死と復活を記念する象徴的な行為であると主張したのに対し、ルターはパンとぶどう酒の中にキリストが実際に存在すると信じていました。
フィリップ・メランヒトン著「アウクスブルク信仰告白」 (1530年)
ルター派の信仰を明確に表明した「アウクスブルク信仰告白」は、神聖ローマ帝国皇帝カール5世に提出された重要な文書です。メランヒトンが主に執筆したこの告白は、ルター派とカトリック教会の教義上の相違点を明確化し、和解の可能性を探ることを目的としていました。
「アウクスブルク信仰告白」は、聖書の権威、信仰義認説、教会の二つの秘跡(洗礼と聖餐式)など、プロテスタントの中心的な教義を明確に述べています。この告白は、ルター派教会の設立文書となり、その後のプロテスタント神学の発展に大きな影響を与えました。