オレムの看護の一般理論の構成
看護の概念枠組み
オレムは、自身の看護論を「セルフケア不足看護理論」と呼びます。これは、人が自身の健康を維持するために必要なセルフケア能力と、実際に提供されるケアとの間に乖離が生じたときに、看護が必要となると定義しています。
セルフケア
オレムは、セルフケアを「人が自分の健康を維持し、促進し、回復するために意図的に行う行為」と定義しています。セルフケアには、以下の3つのカテゴリーがあります。
* **普遍的セルフケア要件:** 生存のために必要な共通のニーズ(例:空気、水、食物、休息、活動、孤独と相互作用のバランスなど)
* **発達的セルフケア要件:** 人生の各段階やイベント(例:乳児期、青年期、妊娠、老化、喪失など)に関連するニーズ
* **逸脱的セルフケア要件:** 疾病、傷害、障害などによって生じるニーズ
セルフケア不足
セルフケア不足とは、人が自身のセルフケア要件を満たす能力が不足している状態を指します。これは、以下のような要因によって引き起こされる可能性があります。
* 知識不足
* スキル不足
* 資源不足
* モチベーション不足
* 身体的または精神的な制限
看護システム
看護システムとは、看護師がセルフケア不足を持つ人に対して提供するケアの方法を指します。オレムは、以下の3つの看護システムを提唱しています。
* **完全代償系:** 看護師が患者さんのセルフケアを完全に肩代わりします。これは、患者さんが意識不明であったり、重度の障害を持っている場合などに適用されます。
* **一部代償系:** 看護師は患者さんと協力して、患者さんが可能な範囲でセルフケアに参加できるように支援します。
* **支持-教育系:** 看護師は、患者さんが自分でセルフケアを行えるように、知識、スキル、リソースを提供します。
看護師の役割
オレムは、看護師の役割は、人々がセルフケア能力を高め、健康を維持できるように支援することであると述べています。看護師は、以下の5つの役割を果たします。
* **役割遂行者:** 看護師は、患者さんに代わってセルフケアを提供します。
* **指導者:** 看護師は、患者さんにセルフケアについて教育します。
* **支持者:** 看護師は、患者さんがセルフケアを行えるように、精神的なサポートを提供します。
* **擁護者:** 看護師は、患者さんの権利と利益を守ります。
* **調整者:** 看護師は、患者さんのために他の医療従事者と連携します。
これらの構成要素は、オレムの看護の一般理論の基盤となる概念であり、看護師が患者さんのセルフケア能力を評価し、適切な看護介入を提供するための枠組みを提供しています。