## オレムの看護の一般理論のテクスト
オレムの看護の一般理論は、1971年に出版された「Nursing: Concepts of Practice」の中で初めて発表されました。この理論は、自己ケア不足を補うことで、人々の健康を維持・促進することを目的とした看護実践の枠組みを提供しています。
### オレムの定義する看護とは？
オレムは、看護を「人々が自ら行う自己ケア能力が、発達的に、あるいは健康上の理由で低下した時に生じる自己ケア不足を補うための行為」と定義しています。
### オレムの看護理論の３つの構成要素とは？
オレムの看護理論は、次の3つの相互に関連する理論から構成されています。
1. **自己ケア理論:** 人々が健康を維持・促進するために行う行動や活動を説明する。
2. **自己ケア不足理論:** 人々が自ら必要な自己ケアを提供できない状態を説明する。
3. **看護システム理論:** 看護師が自己ケア不足を補うために行う行動を説明する。
### 自己ケアとは？
自己ケアとは、人々が生命、健康、well-beingを維持するために、自ら意図的に行う行動や活動です。オレムは、自己ケアを以下の３つのカテゴリーに分類しました。
1. **普遍的自己ケア要件:** 全ての人々に共通して必要とされる自己ケア。例えば、空気、水、食物の摂取、排泄、活動と休息のバランス、孤独と社会的な交流のバランス、危険の予防、自己としての成長と発達促進などが挙げられます。
2. **発達的自己ケア要件:** 特定の発達段階やイベントに関連する自己ケア。例えば、乳児期における母親からのケアの必要性、思春期における身体的・精神的な変化への適応、妊娠・出産・育児におけるケアの必要性、老化に伴う身体機能の変化への適応などが挙げられます。
3. **健康逸脱自己ケア要件:** 疾病や傷害、障害などによって生じる自己ケア。例えば、病気の治療、症状の管理、障害への適応、リハビリテーションなどが挙げられます。
### 自己ケア不足とは？
自己ケア不足とは、人々が自ら必要な自己ケアを提供できない状態を指します。これは、以下の３つの要因によって発生します。
1. **自己ケア主体側の要因:** 年齢、発達段階、健康状態、知識、スキル、モチベーション、資源など。
2. **自己ケア要件側の要因:** 自己ケアの複雑さ、必要な時間と労力、利用可能な資源など。
3. **環境側の要因:** 家族や社会からのサポート、経済状況、医療へのアクセスなど。
### 看護システムとは？
看護システムとは、看護師が自己ケア不足を補うために行う行動を体系化したものです。オレムは、看護システムを以下の３つに分類しました。
1. **全代償的看護システム:** 患者が全く自己ケアを行えない場合に、看護師が全ての自己ケアを提供するシステム。
2. **一部代償的看護システム:** 患者がある程度の自己ケアは行えるものの、完全に自己ケアを行うことができない場合に、看護師が必要なサポートを提供するシステム。
3. **支持・教育的看護システム:** 患者は自己ケアを行う能力があるものの、知識やスキルの不足、モチベーションの低下などにより、自己ケアを行うことができない場合に、看護師が教育や指導、心理的なサポートを提供するシステム。
### オレムの看護理論における看護師の役割とは？
オレムの看護理論における看護師の役割は、患者の自己ケア能力を評価し、自己ケア不足を補うための適切な看護システムを提供することです。看護師は、患者が自ら健康を維持・促進できるように、患者とその家族に対して、教育、指導、助言、環境調整などを行います。