エールリヒの法社会学基礎論の関連著作
### **社会学的方法の規則** (エミール・デュルケーム) ###
デュルケームは、社会学を独立した学問として確立することを目指し、そのための方法論を本書で提示しました。 彼は、社会的事実を「個人の外部に存在し、強制力をもって個人に作用する客観的なもの」と定義し、自然科学と同様に客観的な方法で研究すべきだと主張しました。
エールリヒは、デュルケームの社会的事実論の影響を受け、法もまた社会的事実として捉えようとしました。 法は、国家によって制定されるものだけにとどまらず、社会における様々な集団の内部で生み出される規範や慣習なども含む広範なものであると彼は考えました。
具体的には、デュルケームが原始社会における宗教や儀礼を社会の統合の力として捉えたように、エールリヒもまた、社会の秩序を維持する上で法が重要な役割を果たしていると考えたのです。
### **法と社会** (マックス・ヴェーバー) ###
ヴェーバーは、近代資本主義の発生を合理化という観点から分析したことで知られていますが、法の領域においても、近代法の特質を合理化という観点から分析しました。 彼は、近代法を形式的合理性によって特徴づけられるものとし、伝統的な法との対比においてその特徴を明らかにしようとしました。
エールリヒは、ヴェーバーの近代法の合理性に関する分析を高く評価し、自らの法社会学の理論構築にも取り入れました。 しかし、ヴェーバーが近代法の形式的合理性を重視するあまり、現実の法生活における法感情や慣習の役割を軽視している点を批判しました。
エールリヒは、法の形式的な側面だけでなく、現実の人々の行動や意識に影響を与える法の作用にも目を向け、法の社会学的分析を試みたのです。