エンデのモモと言語
モモにおける言葉の力
エンデの作品「モモ」では、言葉が重要な役割を果たしています。 言葉は、単なるコミュニケーションの道具ではなく、時間や想像力、人間存在そのものと密接に関係しています。 作中では、言葉の力によって物語が展開し、登場人物たちの運命が大きく左右されます。
沈黙と物語
主人公のモモは、言葉を持たない少女ですが、不思議な力で人々の話を聞き、彼らの心を癒やす力を持っています。 モモの沈黙は、単なる無口ではなく、言葉の持つ力を際立たせる重要な要素となっています。 灰色の男たちは、人々に効率性を追求させ、時間を節約するように仕向けます。 その過程で、人々は言葉を発する時間さえも奪われていきます。
時間の象徴としての言葉
エンデは、「時間」を「物語」と結びつけ、言葉によって紡ぎ出される物語こそが、人間にとっての時間の流れを形作ると示唆しています。 灰色の男たちは、人々から「物語」を奪い、「時間」を節約という名目で支配しようとします。 モモの存在は、言葉の力によって失われた「物語」と「時間」を取り戻すための希望となります。