エンデのはてしない物語を読む
現実と空想の境界線
ミヒャエル・エンデの代表作「はてしない物語」は、現実の世界とファンタージエンという空想の世界を行き来する物語です。主人公バスチアンは、現実世界でいじめられ、居場所を失い、古書店に逃げ込みます。そこで見つけた「はてしない物語」という不思議な本に夢中になり、物語の世界に引き込まれていきます。
物語の構造とテーマ
物語は、現実世界のバスチアンとファンタージエンの勇者アトレーユの二つの視点から描かれています。アトレーユの冒険を通して、ファンタージエンが「虚無」という存在によって滅亡の危機に瀕していることが明らかになります。バスチアンは、物語を読み進めるうちに、自分がファンタージエンを救う鍵を握っていることを知ります。
登場人物と象徴性
「はてしない物語」には、個性豊かな登場人物が数多く登場します。例えば、幸運の竜フッフール、岩を食べる巨人モルラ、永遠に幼い女帝など、それぞれが象徴的な意味を持っています。これらの登場人物を通して、エンデは、想像力、希望、勇気など、人間にとって大切な価値観を伝えています。
メタフィクションとしての側面
作中では、バスチアンが物語を読み進めることで、ファンタージエンの世界に影響を与えられることが描かれています。これは、読者である私たちにも、物語が現実世界に影響を与える可能性を示唆しています。「はてしない物語」は、読者自身が物語の登場人物となり、想像力を働かせることで、現実の世界を変えることができるというメッセージを込めたメタフィクションといえます。