## エリアーデの聖と俗の力
ミルチャ・エリアーデとは
1907年生まれのルーマニア出身の宗教学者、作家、哲学者です。宗教学における重要な概念である「聖と俗」の対比を提唱し、近代社会における宗教の役割について考察を深めました。膨大な研究と著作は、宗教学、人類学、文化史などの分野に多大な影響を与えています。
聖と俗の対比
エリアーデによれば、「聖なるもの」とは、日常的な世界とは異なる超越的なリアリティ、つまり「聖なる空間」に属する力や存在を指します。一方、「俗なるもの」は、私たちが日常的に経験する profane な世界、非宗教的な事柄や空間を指します。
聖なる空間の顕現
エリアーデは、聖なるものは突如として日常世界に現れると考えました。これを「ヒエロファニー」と呼びます。ヒエロファニーは、特定の場所、時間、オブジェクトなどに聖なる力が宿ることによって起こり、人々に畏怖や崇敬の念を抱かせます。
聖なる空間の象徴性
聖なる空間は、単なる物理的な場所ではなく、宇宙の構造や秩序を象徴的に表すものでもあります。例えば、寺院や神社などの宗教的建造物は、聖なる空間の中心に位置し、宇宙の中心軸「アクシス・ムンディ」を象徴すると考えられています。
聖と俗の相互作用
エリアーデは、聖と俗は完全に分離されたものではなく、相互に影響し合う関係にあると指摘しました。聖なるものは、俗なる世界に意味や価値を与え、人々の行動や社会秩序に影響を与えます。
現代社会における聖と俗
近代化が進み、合理主義や科学技術が発展するにつれて、聖なるものの影響力は低下したと言われています。しかし、エリアーデは、現代社会においても、人々は依然として聖なるものを求める傾向があると指摘し、芸術やスポーツなど、一見すると非宗教的に見える現象の中に、聖なるものの痕跡を見出せるとしました。