## エリアーデの聖と俗の仕組み
エリアーデにおける「聖」と「俗」
ルーマニア出身の宗教史家ミルチャ・エリアーデは、その主著『聖と俗』の中で、宗教経験の本質を「聖なるもの」と「俗なるもの」の対比によって説明しようと試みました。エリアーデによれば、「聖なるもの」(the sacred)は、非均質性(heterogeneity)と顕現(manifestation)という二つの重要な特徴を持ちます。
非均質性(heterogeneity)
エリアーデは、世界を均質な空間として捉えるのではなく、「聖なるもの」が突如として現れることによって、非均質なものとして認識されると考えました。彼はこれを「空間の聖化」と呼び、教会や寺院といった宗教的空間が、周囲の「俗なるもの」とは明確に区別された、聖なる領域として認識されることを例に挙げています。
顕現(manifestation)
「聖なるもの」は、具体的な形を取って人間に姿を現すと考えられています。エリアーデはこれを「ヒエロファニー」(hierophany)と呼び、神々、精霊、祖先などの超自然的な存在が、自然現象や人工物などを通じて自らを顕現させると説明しました。
聖と俗の対立と相互作用
エリアーデは、「聖なるもの」と「俗なるもの」を、静的な対立関係として捉えるのではなく、相互に影響し合いながら変化する動的な関係として捉えました。彼は、近代社会における世俗化現象を、「聖なるもの」の衰退としてではなく、「聖なるもの」の形態変化として解釈しました。
エリアーデ理論への批判
エリアーデの理論は、宗教現象を理解する上で重要な視点を提供する一方、その普遍性や歴史的妥当性については、多くの批判も寄せられています。例えば、彼の「聖」と「俗」の二分法は、西洋中心的な視点に基づいており、他の文化圏における宗教経験を十分に説明できないという指摘があります。
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