## ウエルズの世界史概観
人類の起源と発展
「ウエルズの世界史概観」は、人類の起源から現代(1920年代初頭)までの歴史を概観することを主題としています。 本書は、従来の歴史書のように政治や戦争を中心的に扱うのではなく、人類全体の発展と文明の進歩という視点から歴史を捉え直そうとした点に特徴があります。
壮大な歴史の物語
ウェルスは、膨大な史料を渉猟し、人類史を一つの連続した物語として描き出しました。 彼は、人類が原始的な状態から文明を築き上げていく過程を、道具の使用、火の使用、農耕の開始、都市の出現といった画期的な出来事を軸に説明していきます。 また、エジプト文明、メソポタミア文明、ギリシャ文明、ローマ文明といった古代文明の興亡を、世界史全体の文脈の中で位置づけています。
歴史における科学と技術の役割
本書では、科学技術の発展が歴史に与えた影響を特に重視しています。 ウェルスは、印刷術の発明が宗教改革やルネサンスを促進したように、技術革新が社会構造や人々の思想に大きな変化をもたらすと考えていました。 また、産業革命以降の科学技術の急速な発展が、世界を大きく変貌させていることを指摘し、未来社会に対する希望と同時に、科学技術の利用方法によっては人類に災厄がもたらされる可能性についても言及しています。
西洋中心主義からの脱却
「ウエルズの世界史概観」は、当時の歴史書にありがちだった西洋中心主義的な視点を批判し、アジアやアフリカを含む世界全体の歴史を記述しようと試みた点でも画期的でした。 彼は、ヨーロッパ文明だけでなく、イスラム文明や中国文明など、様々な文明が世界史の中で重要な役割を果たしてきたことを強調しています。