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ウェーバーの職業としての政治の関連著作

ウェーバーの職業としての政治の関連著作

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マキァヴェリ『君主論』

ニッコロ・マキァヴェリの『君主論』は、16世紀イタリアの政治思想家であるマキァヴェリが、当時の政治状況を背景に、君主たるもの如何に権力を獲得し、維持すべきかを論じた著作です。ウェーバーの『職業としての政治』と同様に、政治における現実主義的な視点を提示しており、権力闘争や道徳と政治の関係について考察しています。

『君主論』は、目的のためには手段を選ばないという Machiavellism(マキァヴェリズム)という言葉を生み出したことでも知られています。君主は、時に冷酷で非情な決断を下す必要があり、伝統的な道徳観念にとらわれずに、現実的な判断と行動が求められると説いています。

ウェーバーは、『職業としての政治』において、マキァヴェリの思想を部分的に継承しつつも、倫理的な問題にも深く切り込んでいます。ウェーバーは、政治家が倫理と責任感を持たずに権力を行使することの危険性を指摘し、「責任倫理」と「信念倫理」という概念を用いて、政治における倫理のあり方を考察しています。

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プラトン『国家』

古代ギリシャの哲学者プラトンの『国家』は、理想的な国家のあり方について論じた対話篇です。正義とは何か、どのようにすれば正しい統治を実現できるのかという問いを追求し、哲人王による統治という概念を提示しています。

『国家』は、政治を専門的な知識と技術を要する営みとして捉えている点で、『職業としての政治』と共通点があります。プラトンは、統治者には高度な知性と倫理観が必要であると主張し、哲学者こそが理想的な統治者であるとしました。

ウェーバーもまた、政治における専門性の重要性を強調し、政治家を「専門家」と捉えています。ただし、ウェーバーはプラトンのような理想主義的な立場ではなく、現実の政治における権力闘争や利害調整の重要性を認識していました。

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シュンペーター『資本主義・社会主義・民主主義』

オーストリアの経済学者ヨーゼフ・アロイス・シュンペーターの『資本主義・社会主義・民主主義』は、資本主義の将来像と民主主義のあり方について考察した著作です。シュンペーターは、資本主義はイノベーションによって発展する一方、その過程で社会主義的な要素を取り込みながら変容していくと論じています。

『資本主義・社会主義・民主主義』は、民主主義を「指導者を選出するための手続き」として捉える、いわゆる「elitist theory of democracy(エリート民主主義論)」を展開している点で、『職業としての政治』と関連付けられます。シュンペーターは、大衆は政治的な判断能力に限界があるため、政治は専門家であるエリートによって担われるべきだと主張しました。

ウェーバーも、政治における指導者の役割を重視しており、カリスマ的な指導者と官僚制の関係性について分析しています。ただし、ウェーバーは、シュンペーターのようなエリート主義的な立場を明確に支持していたわけではなく、大衆の政治参加の重要性も認識していました。

これらの著作は、『職業としての政治』と異なる時代背景や思想的立場から書かれていますが、政治における現実と理想、倫理と責任、指導者と大衆といった、今日においても重要なテーマを共有しています.

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