ウェーバーの権力と支配の対極
###
ウェーバーの権力と支配
マックス・ウェーバーは、社会学の始祖の一人として、権力と支配の概念を分析し、その類型化を試みました。彼は権力を「他の人間の行動を自分の意志に従わせる確率」と定義し、支配を「命令に対する服従の確率」と定義しました。そして、伝統的支配、カリスマ的支配、合法的支配という三つの支配類型を提示しました。
###
ウェーバーの対極に位置する思想
ウェーバーの権力論は、支配と服従の関係に焦点を当て、権力の非対称性を前提としています。一方、ウェーバーの対極に位置する思想として、ミハイル・バクーニンのアナーキズムやピエール・クラストゥルースの相互主義といった、あらゆる支配構造を否定し、水平的で自律的な社会関係を志向する思想が挙げられます。これらの思想は、権力の集中や階層構造を批判し、個人の自由と平等を重視します。
###
具体的な思想書と内容
バクーニンの『国家とアナーキー』やクラストゥルースのパンフレット群は、国家権力や資本主義による搾取を批判し、自由な個人の連合に基づく社会の構築を訴えました。彼らは、権力は腐敗しやすく、個人の自由を制限すると考え、あらゆる形態の権力構造を解体することを目指しました。
これらの思想は、ウェーバーが前提とした権力関係そのものを問題視しており、権力の行使や支配の構造を分析対象とするウェーバーとは対照的な視点を提供しています。