ウェーバーのプロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神の関連著作
マックス・ウェーバーの宗教社会学
マックス・ウェーバーは『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』以外にも、宗教と社会の関係を探求した著作を多数残しています。特に重要なのが、彼の死後に編纂された未完の遺著『宗教社会学論集』です。
この著作の中でウェーバーは、プロテスタンティズムに限らず、ヒンドゥー教、仏教、儒教、ユダヤ教といった世界宗教を分析し、それぞれの宗教が経済倫理や社会構造にどのような影響を与えたのかを考察しています。
例えば、古代ユダヤ教における預言者や律法の倫理が、近代西洋の合理主義的な倫理観の形成に影響を与えたと論じています。また、インドや中国といったアジア社会では、宗教が経済発展を阻害する要因となった側面を指摘しています。
リチャード・ヘンリー・トーニーの『イギリスにおける産業革命と宗教』
ウェーバーの議論に影響を与えた歴史家として、リチャード・ヘンリー・トーニーが挙げられます。彼の著書『イギリスにおける産業革命と宗教』は、18世紀後半のイギリスで起こった産業革命を宗教的側面から分析したものです。
トーニーは、当時のイギリス社会で大きな影響力を持っていた非国教派プロテスタンティズム、特にメソジスト派に着目し、勤勉や禁欲といった彼らの倫理観が、産業革命を推進する原動力となったと主張しました。
ウェーバーはトーニーの研究を高く評価し、『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』の中でも言及しています。ただし、ウェーバーはトーニーの議論をそのまま受け入れたわけではなく、独自の視点からプロテスタンティズムと資本主義の関係を分析しています。