## イェーリングの権利のための闘争の原点
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闘争という比喩
ルドルフ・フォン・イェーリングの主著『権利のための闘争』は、1858年の出版以来、法哲学のみならず、広く社会に影響を与えてきた書物です。 この書物の特徴の一つに、「闘争」という比喩を用いて権利の主張の重要性を説いていることが挙げられます。
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ローマ法研究と現実の法
イェーリングは、当初、歴史法学派の俊秀として、ローマ法の研究に邁進していました。 しかし、次第に、歴史法学派の法概念は、現実の法生活から遊離しているのではないかという疑問を抱くようになります。
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ギリシャ都市国家における権利意識
イェーリングは、古代ギリシャの都市国家における権利意識に着目しました。 ギリシャ人たちは、自らの権利を勝ち取るために、積極的に法廷闘争を繰り広げていたのです。 このような権利意識が、ローマ法を発展させ、ひいては近代ヨーロッパの法体系の基礎を築いたとイェーリングは考えました。
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個人の権利意識の重要性
イェーリングは、権利は、国家から与えられるものではなく、個人が自らの手で勝ち取るものだと考えました。 そして、権利を享受するためには、絶えず権利侵害と闘い続けなければならないと主張したのです。
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『権利のための闘争』出版の背景
イェーリングが『権利のための闘争』を執筆した19世紀半ばは、ドイツ統一を巡る政治的混乱のさなかにありました。 イェーリングは、このような時代背景の中で、個人が自らの権利を守るためには、積極的な姿勢で権利侵害と闘うことが必要不可欠だと考えたのです。