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イェーリングのローマ法の精神と人間

## イェーリングのローマ法の精神と人間

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ローマ法の精神とは何か

ルドルフ・フォン・イェーリングが1852年から執筆を開始し、1865年に完成させた「ローマ法の精神」は、ローマ法の歴史を、法的体系の技術的発達として捉えるのではなく、ローマ人の国民性や社会構造と結びついたものとして解釈しました。イェーリングは、法的概念や制度を単なる抽象的なルールとしてではなく、具体的な社会生活の中で生まれ、変化してきたものとして捉え、その背後にあるローマ人の精神や社会の力動を明らかにしようと試みました。

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イェーリングが見出したローマ人の精神

イェーリングは、ローマ法の発展を支えたローマ人の精神的特徴として、次の3つを挙げました。

1. **法的確信**: 法に対する深い敬意と、法によって社会秩序が維持されるという確固たる信念。
2. **実用主義**: 現実の社会問題を解決することに重きを置き、理論よりも実用性を重視する姿勢。
3. **漸進主義**: 急激な変化を避け、長い時間をかけて法を現実の社会状況に適合させていく姿勢。

イェーリングは、これらの精神的特徴が、ローマ法を世界史に類を見ないほど精緻で洗練された法的体系へと発展させた原動力となったと主張しました。

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人間と法の関係に対する洞察

イェーリングの「ローマ法の精神」は、単なるローマ法の歴史書を超えた、人間と法の関係に対する深遠な洞察を提供しています。イェーリングは、法は社会から独立して存在するのではなく、常に人間の活動と相互に影響し合いながら変化していくものであることを示しました。法は、人間の精神や社会構造を反映する鏡であると同時に、人間の行動を規範し、社会を形作る力を持つものでもあるのです。

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「ローマ法の精神」が後世に与えた影響

「ローマ法の精神」は、19世紀後半から20世紀初頭にかけて、法学研究に大きな影響を与え、歴史法学派の中心的著作として位置づけられました。法を社会との関連の中で捉え、その歴史的発展を分析するというイェーリングのアプローチは、その後の法学研究に多大な影響を与え、現代の法解釈や法哲学にも通じる重要な視点を含んでいます。

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