アリストテレスの弁論術のテクスト
アリストテレスの弁論術とは？
『弁論術』は、古代ギリシアの哲学者アリストテレスによって書かれた、修辞学に関する古典的なテキストです。紀元前4世紀に書かれたと考えられており、弁論術、つまり説得の技術について包括的に論じています。アリストテレスは、弁論術を「あらゆる場合における説得の可能な手段を発見すること」と定義し、その目的は聴衆を説得して特定の行動を取らせることであると主張しました。
『弁論術』の内容
本書は3つの巻から構成されています。
* **第1巻** では、弁論術の定義、種類、構成要素について論じられています。アリストテレスは、弁論を3つの種類に分類しています。
* **政治的弁論:** 未来における行動を促すか阻止するために、政策の是非を議論するもの
* **司法弁論:** 過去の行動の是非を判断するもの
* **儀式的弁論:** 現在における特定の人物や事柄を称賛または非難するもの
また、説得を生み出す3つの要素として、話者の人格（エトス）、聴衆の感情（パトス）、論理（ロゴス）を挙げています。
* **第2巻** では、論理的証明（ロゴス）について詳しく論じられています。具体的には、演繹法と帰納法、一般的な論証方法、様々な論題などが解説されています。また、感情に訴えるための方法についても触れられています。
* **第3巻** では、文体と構成について論じられています。アリストテレスは、明瞭さ、適切さ、華麗さといった文体の重要性を説くとともに、序論、本論、結論からなる弁論の構成方法についても解説しています。
『弁論術』の影響
『弁論術』は、古代ギリシア・ローマ時代から現代に至るまで、西洋の修辞学、論理学、政治学、そしてコミュニケーション論全般に多大な影響を与えてきました。今日でも、政治家、弁護士、ビジネスマン、教育者など、様々な分野の人々が説得の技術を学ぶために本書を参考にしています。