アリストテレスのニコマコス倫理学を読む前に
古代ギリシャの倫理観について学ぶ
アリストテレスの倫理観を理解するには、当時の古代ギリシャにおける倫理観の基礎を理解することが不可欠です。当時の社会では、徳や幸福、正義といった概念が現代とは異なる意味合いを持っていました。
例えば、「徳」は単なる道徳的な規範ではなく、人間としての優れた能力や特性と捉えられていました。幸福も、個人的な満足感ではなく、理性に従って徳を実践することで得られる、客観的で永続的な状態と考えられていました。
古代ギリシャの倫理観に関する入門書を読んだり、関連する講義を聴いたりすることで、アリストテレスの思想的背景を理解することができます。
アリストテレスの生涯と哲学の概要を把握する
アリストテレスは、プラトンの弟子であり、ソクラテス、プラトンと並ぶ古代ギリシャの三大哲学者の一人です。彼は論理学、形而上学、倫理学、政治学、自然科学など、多岐にわたる分野で重要な業績を残しました。
ニコマコス倫理学を深く理解するためには、アリストテレスの生涯、師であるプラトンとの関係、そして彼の哲学全体における倫理学の位置付けを把握しておくことが重要です。アリストテレスの生涯や哲学に関する伝記や概説書を読むことをお勧めします。
「ニコマコス倫理学」の構成と目的を理解する
「ニコマコス倫理学」は、全10巻からなる長編の書物です。各巻はそれぞれ異なるテーマを扱っており、幸福論、徳論、友情論、快楽論などが展開されます。
本書は、アリストテレスが息子ニコマコスに宛てた倫理学講義録であるという説もあります。そのため、読者に対して語りかけるような平易な文体で書かれている部分もあれば、難解な議論が展開される部分もあります。
読み始める前に、本書全体の構成と目的を理解しておくことで、各章の内容をより深く理解することができます。「ニコマコス倫理学」の解説書や入門書を参考にすると良いでしょう。