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アリストテレスのニコマコス倫理学の話法

## アリストテレスのニコマコス倫理学の話法

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弁証法と倫理的考察

アリストテレスは、『ニコマコス倫理学』において、厳密な証明よりもむしろ、**弁証法的な議論**を用いて倫理的問題を探求しています。これは、倫理的な事柄が数学のように普遍的かつ不変の法則を持つのではなく、状況や個々の判断に依存する側面を持つためです。

アリストテレスは、まず、人々の間で広く共有されている信念や意見(**エンドクサ**)を出発点とします。 彼はこれらのエンドクサを吟味し、比較検討し、場合によっては反論を提示することで、より精緻で妥当性の高い倫理的な見解へと導こうとします。

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例示と具体例

アリストテレスは、抽象的な議論だけでなく、**具体的な例や事例**を豊富に用いることで、読者の理解を助けます。彼は、勇気、節制、正義といった徳について論じる際、歴史上の人物や神話、文学作品などから例を挙げ、それぞれの徳が具体的な状況においてどのように現れるのかを具体的に示します。

この手法は、倫理的な概念をより身近なものとし、読者が自身の経験と結びつけて考えることを促します。また、倫理的な判断が単なる抽象的なルールに従うだけでなく、状況に応じた適切な判断を必要とすることを示唆しています。

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比喩とアナロジー

アリストテレスは、複雑な概念を分かりやすく説明するために、**比喩やアナロジー**を効果的に用います。例えば、彼は、徳を「中庸」と捉え、弓矢の弦の張り具合に喩えています。弦が張りすぎても緩すぎても良い矢が放てないのと同様に、徳もまた、過剰と不足の中間にある適切な状態であると説明します。

このような比喩やアナロジーは、抽象的な倫理的概念をより具体的でイメージしやすいものとして捉え直し、読者の理解を深める効果があります。

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