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アリストテレスのニコマコス倫理学の対極

## アリストテレスのニコマコス倫理学の対極

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ニーチェの道徳の系譜

アリストテレスの『ニコマコス倫理学』は、幸福(エウダイモニア)を人間の行為の目的として位置づけ、理性に基づいた徳の実践を通して幸福に到達できると説く、西洋倫理学の古典的なテキストです。一方、フリードリヒ・ニーチェの『道徳の系譜』は、伝統的な道徳、特にキリスト教的な道徳の価値観を批判的に考察し、その起源と本質を genealogie(系譜学)という方法を用いて暴き出すことで、全く異なる倫理観を提示しています。

ニーチェは、従来の道徳、特に善悪の概念が、力への意志を否定し、弱者の道徳を押し付けるものであると批判します。彼は、古代ギリシャの貴族社会に見られた「主人道徳」と、ユダヤ教やキリスト教によって広まった「奴隷道徳」を対比させます。前者は力強く、肯定的な価値観に基づくのに対し、後者は弱者によるルサンチマン(怨恨)から生まれた、否定的な価値観に基づくとされます。

『道徳の系譜』は、伝統的な道徳の価値転換を迫るものであり、善悪の彼岸に立つ「超人」という新たな人間像を提示します。これは、理性に基づいた徳の実践を通して幸福を目指すアリストテレスの倫理観とは全く異なる視点を提供するものです。

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