## アリストテレスのニコマコス倫理学からの学び
幸福について
アリストテレスは、
「人間にとっての究極の目的は何か？」という問いに対する答えとして、「幸福（エウダイモニア）」を提示します。
彼は、幸福とは単なる快楽や名誉の獲得ではなく、
人間の魂が持つ能力を最大限に発揮し、
理性に従って徳のある行為を積み重ねることで得られる、
人間の活動そのものに内在するものであると説きました。
徳について
アリストテレスは、
徳を「知性」「勇気」「節制」「正義」などのように、
人間の魂のあり方に関わる性質として捉え、
これらを「性格の徳」と呼びました。
彼は、徳とは生まれながらに備わっているものではなく、
習慣によって身につけることができると考え、
中庸（mesotes）の重要性を説きました。
中庸について
中庸とは、
感情や行動の過不足を避け、
理性に基づいた適切なバランスを保つことを意味します。
例えば、「勇気」という徳は、
「無謀」という過剰と「臆病」という不足の中間に位置するものです。
アリストテレスは、
それぞれの状況に応じて中庸を見出すことが重要であると強調しました。
理性について
アリストテレスは、
人間を他の動物と区別する本質的な能力として「理性」を重視しました。
彼は、理性によって世界の真理を認識し、
その認識に基づいて正しい判断と行動をとることが、
徳の実践には欠かせないと考えました。
理性を正しく働かせるためには、
教育や訓練を通じてそれを鍛錬する必要があると説いています。
友情について
アリストテレスは、
人間にとって「友情」が不可欠なものであると考え、
その重要性を説きました。
彼は友情を、
「互いに善を望む」という相互的な関係と定義し、
有用性、快楽、徳という三つの種類に分類しました。
その中でも、
互いの徳を認め合い、
高め合う関係である「徳に基づく友情」を最も価値の高いものと考えていました。