アポロドロスのギリシア神話の案内
アポロドロスのギリシア神話とは
「アポロドロスのギリシア神話」は、紀元2世紀頃にギリシャの文法学者アポロドロスによって書かれたとされるギリシア神話の集成です。原題は「ビブリオテーケー(Βιβλιοθήκη)」、ギリシア語で「図書館」を意味します。この作品は、天地創造からトロイア戦争後の英雄たちの運命まで、ギリシア神話の主要な物語を時系列順に簡潔な散文でまとめている点が特徴です。
現存する内容
現在、「アポロドロスのギリシア神話」は全4巻で構成されていますが、完全な形で現存しているのは第1巻から第3巻の途中までです。第3巻の途中からは断片的にしか残っておらず、第4巻は完全に失われています。
作者について
「アポロドロスのギリシア神話」の作者は、一般的に紀元2世紀の文法学者アポロドロスとされています。しかし、現存する写本の分析から、実際に書かれたのは紀元1世紀頃ではないかとする説もあります。いずれにしても、作者がアポロドロスという名の人物であったことはほぼ確実と考えられています。
資料としての価値
「アポロドロスのギリシア神話」は、ヘシオドスの「神統記」やホメロスの叙事詩など、より古い時代の作品を参考にしながら書かれました。そのため、現在では失われてしまったギリシア神話の物語や系譜を知る上で貴重な資料となっています。
影響
「アポロドロスのギリシア神話」は、後世の文学や芸術に大きな影響を与えました。ルネサンス以降、多くの芸術家が「アポロドロスのギリシア神話」を題材にした作品を制作しました。
日本語訳
日本語訳は、高津春繁訳(岩波文庫)などがあります。