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アウグスティヌスの告白とアートとの関係

## アウグスティヌスの告白とアートとの関係

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アウグスティヌスにおける美と感覚的経験

アウグスティヌスは『告白』の中で、若き日の放埓な生活や、真実を求めて様々な哲学に傾倒した果てにキリスト教に回心した過程を赤裸々に綴っています。その中で、美や芸術についても言及しており、彼自身の思想や信仰との関係を窺い知ることができます。

アウグスティヌスは、美は神に由来すると考えていました。彼は、この世のあらゆる美しいものは、究極的には神の完全な美の反映であると信じていました。そして、人間は感覚を通してこの世の美を体験することで、間接的にではありますが神を認識することができるとしました。

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芸術の誘惑と神の愛

一方で、アウグスティヌスは、感覚的な美に耽溺することの危険性も認識していました。彼は、演劇や音楽といった芸術は、人間の感情を強く揺さぶり、時に魂を神から遠ざけてしまう可能性があると警告しています。

『告白』には、アウグスティヌス自身が若い頃に演劇に熱中し、そのストーリーに感情移入することで涙を流す自分に酔いしれていたエピソードが登場します。彼は後に、このような行為は虚構の世界に心を奪われ、真実である神から目を背ける行為であったと反省しています。

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真の美を求めて

アウグスティヌスにとって、真の美とは、感覚を超越した、永遠不変の神の内にのみ存在するものでした。彼は、芸術を含むこの世のあらゆる美しいものは、あくまでもその象徴であり、影に過ぎないと考えていました。

『告白』の中でアウグスティヌスは、真の幸福とは、神を愛し、神に仕えることによってのみ得られると述べています。そして、芸術は、それが神の栄光を讃え、人々を神へと導くものであればこそ、その価値を持つとしました。

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