ジョン・ロックの『ロックの政府論』(正確には『統治二論』と呼ばれることもある)は、17世紀後半に書かれた政治哲学の古典的著作です。この著作は、政府の正当性、権力の源泉、そして人間の自然権に関するロックの見解を展開しています。ロックは、人々が社会契約を結ぶことにより自然状態から脱し、政府を形成すると主張します。彼によれば、政府の主な任務は、個人の生命、自由、財産を保護することであり、これらは譲渡不可能な自然権として位置づけられます。
ロックは、政府がその正当な目的から逸脱した場合、すなわち個人の自然権を侵害した場合、人民にはその政府に対して抵抗し、必要に応じて新たな政府を樹立する権利があると論じます。これは、後の民主主義や共和制の理論に大きな影響を与えた思想であり、アメリカ独立宣言やフランス人権宣言など、多くの革命的文書にその影響を見ることができます。
『ロックの政府論』は、特にその第二論文である『市民政府に関する二つの論文』で知られており、政治哲学の基礎文献として広く読まれ続けています。ロックの自然権論、政府の正当性、そして抵抗権の理論は、現代の民主主義や法の支配、個人の権利に関する議論においても依然として重要な意味を持っています。