オシアナ

『ハリントンのオシアナ』は、イギリスの啓蒙思想家ジェームズ・ハリントンによって1656年に発表された政治哲学の書であり、彼の代表作とされています。この作品は、理想的な共和国の設計図を描いたもので、当時のイギリスの政治状況と経済的不均衡を背景に、土地の所有と政治権力の分配に関する新しい提案を提示しています。

ハリントンは、安定した社会秩序と自由を確保するためには、土地の所有と政治権力の分配が均等でなければならないと主張します。彼の理想とする共和国「オシアナ」では、土地所有の上限が設けられ、土地を所有する者が政治的にも影響力を持つことができるような制度が提案されています。このようにして、富の集中と政治権力の独占を防ぎ、より公平で平等な社会を実現することが目指されています。

また、ハリントンは議会制度や法の支配など、現代の民主主義に通じる概念を提唱しており、彼の思想は後の啓蒙思想家や民主主義の発展に影響を与えたとされます。『ハリントンのオシアナ』は、理想的な政治体制を追求する上での重要な文献として、今日でもその価値が認められています。