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メノン

『メノン』は古代ギリシャの哲学者プラトンによって書かれた対話篇です。紀元前4世紀に成立したとされ、プラトンの中期の作品に位置付けられています。この対話篇の中心的なテーマは「徳は教えられるか」という問いに対する探求です。メノンという若者がソクラテスにこの問いを投げかけることから対話は始まります。

『メノン』では、ソクラテスとメノンが徳の本質、徳が教えられるかどうか、そして知識の獲得が可能かどうかといった問題を議論します。特に注目されるのは、ソクラテスが「想起説」を提唱する部分です。これは、魂は死を迎える前にすべてを知っており、学習とは実際には魂が以前に知っていた知識を想起する過程であるという考え方です。ソクラテスは、無知な奴隷少年に幾何学の問題を解かせることで、この理論を実証しようと試みます。

『メノン』はプラトンのイデア論の初期の展開を示しており、徳に対する深い洞察と知識の本質に関する重要な議論を提供しています。対話は解決されないまま終わるため、読者にさらなる考察を促します。プラトンの思想の核心に迫るこの対話篇は、西洋哲学における基礎的なテキストとして、今日でも多くの学生や哲学愛好家に読まれ続けています。