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MBTI×シェイクスピア:リア王

リア王:MBTIが照らす老王の悲劇と愛憎渦巻く人間模様

シェイクスピアの四大悲劇の一つ、「リア王」。ブリテン王リアが、娘たちの愛情を試すために国を分割しようと決意するところから始まる物語。しかし、リアの誤った判断は、家族の崩壊、権力闘争、そして狂気と破滅へと繋がっていきます。「リア王」は、権力と愛情、忠誠と裏切り、そして人間の愚かさと尊厳を描いた、シェイクスピアの最高傑作の一つと言えるでしょう。

今回は、MBTIという性格分析ツールを使って、リア王をはじめとする登場人物たちの内面を深く探り、彼らの行動や関係性を多角的に分析していきます。シェイクスピアファンもMBTIに興味がある人も、きっと「リア王」への理解をさらに深め、新たな視点から作品を味わうことができるはずです。

1. リア王: 誇り高く、激しい感情に支配される老王 (ESTJ)

リア王は、絶対的な権力を持つ王でありながら、娘たちの言葉に惑わされ、悲劇的な運命を辿る人物です。彼の性格は、ESTJ(管理者)の特徴と多く一致しています。ESTJは、責任感と決断力に優れ、明確な目標を設定し、それを達成するために周囲を率いていきます。また、伝統やルールを重視し、秩序と安定を求める傾向があります。

リア王が国を分割し、娘たちにその統治を委ねようとするのも、彼がESTJとして、効率的な統治安定した王位継承を目指した結果と言えるでしょう。しかし、ESTJは感情表現が苦手で、他人の感情を理解することが難しい一面も持ち合わせています。リア王がゴネリルとリーガンの偽りの愛情を見抜けず、コーディリアの真実の愛を拒絶してしまうのは、彼のESTJとしての弱点が露呈した結果と言えるでしょう。

**現代社会に置き換えると、リア王は、ワンマン経営者として会社を大きく成長させたものの、部下や家族の気持ちに配慮せず、孤立してしまう人物像が想像できます。**あるいは、厳格な規律で学校を統率する校長先生として、生徒たちからは恐れられながらも、内心では生徒たちの成長を願っているという姿も考えられるでしょう。

2. ゴネリル: 権力欲に燃える冷酷な長女 (ENTJ)

ゴネリルは、リア王の長女であり、権力欲に駆られて父を欺き、その財産を奪おうとする冷酷な女性です。彼女の性格は、ENTJ(司令官)の特徴とよく一致します。ENTJは、カリスマ性とリーダーシップに溢れ、戦略的な思考大胆な行動力で目標を達成しようとします。

ゴネリルが巧みな話術でリア王を操り、権力を手に入れようとする姿は、ENTJらしい野心策略家としての才能を示しています。彼女は、目的のためには手段を選ばない冷酷さを持っており、邪魔な存在は容赦なく排除しようとします。

現代社会では、ゴネリルは、野心的なビジネスウーマンとして成功を収める一方、周囲の人々を踏み台にして出世していく冷酷な人物像が想像できます。

3. リーガン: 狡猾で残忍な次女、ゴネリルの共謀者 (INTJ)

リーガンは、リア王の次女であり、ゴネリルと共謀して父を追い詰める、狡猾で残忍な女性です。彼女の性格は、INTJ(建築家)の特徴と合致する点が多く見られます。INTJは、知性と戦略性に優れ、長期的な目標を達成するために綿密な計画を立て、実行します。

リーガンがゴネリルと共にリア王を欺き、彼を精神的に追い詰めていく姿は、INTJらしい冷酷さ計算高さの表れです。彼女は、感情に流されることなく、論理的に物事を判断し、目的達成のためには手段を選ばない一面も持ち合わせています。

現代社会では、リーガンは、頭脳明晰な弁護士や政治家として活躍する一方、裏では権力闘争を繰り広げ、ライバルを蹴落とす冷酷な人物かもしれません。

ゴネリルとリーガンは、どちらも思考(T)を重視し、権力欲が強いという共通点を持っています。 しかし、ゴネリルのENTJは外向的で、周囲を積極的に巻き込みながら行動を起こすのに対し、リーガンのINTJは内向的で、陰ながら策略を巡らすタイプです。この違いが、二人の行動パターンや、物語における役割の違いに表れています。

4. コーディリア: 誠実で愛情深い末娘、父の真意を見抜く (ISFP)

コーディリアは、リア王の末娘であり、ゴネリルとリーガンとは対照的に、誠実で愛情深い女性です。彼女の性格は、ISFP(冒険家)の特徴とよく一致します。ISFPは、自分の価値観を大切にし、言葉よりも行動で愛情を示す傾向があります。

コーディリアがリア王の愛情を試す質問に対して、偽りの言葉を飾ることなく、正直に答えるのも、彼女がISFPとして、真実を大切にし、自分の気持ちに正直であろうとするからです。彼女は、権力や財産よりも、真実の愛と家族の絆を重視します。

現代社会では、コーディリアは、自分の信念を貫き、社会貢献活動に情熱を注ぐボランティア、あるいは芸術的な感性で人々に感動を与えるアーティストかもしれません。

リア王とコーディリアは、どちらも強い信念と意志を持つ人物ですが、リア王のESTJは外向的で、周囲に自分の考えを押し付けようとするのに対し、コーディリアのISFPは内向的で、自分の価値観を静かに守り抜こうとします。 この対照的な性格が、二人の悲劇的なすれ違いを生み出す原因の一つと言えるでしょう。

5. グロスター伯: 盲信と誤解に苦しむ忠臣 (ISFJ)

グロスター伯は、リア王に仕える忠臣ですが、エドマンドの策略によって嫡子エドガーを疑い、彼を追放してしまいます。彼の性格は、ISFJ(擁護者)の特徴と共通点があります。ISFJは、温厚で思いやりがあり、周囲の人々を支えることに喜びを感じます。また、伝統や慣習を重んじ、安定した環境を求めます。

グロスター伯がリア王に忠誠を誓い、彼を支えようとするのは、彼のISFJとしての忠義心献身的な性格の表れです。しかし、ISFJは騙されやすく、周囲の影響を受けやすい一面も持ち合わせています。グロスター伯がエドマンドの嘘を見抜けず、エドガーを誤解してしまうのは、彼のISFJとしての弱点が露呈した結果と言えるでしょう。

現代社会では、グロスター伯は、温厚な人柄で周囲から信頼される上司、あるいは家族を大切に守り支える父親として、その穏やかさと献身的な性格を活かしているかもしれません。 しかし、騙されやすい性格から、悪意を持つ人物に利用されてしまう可能性もあるでしょう。

6. エドガー: 陰謀に巻き込まれながらも、逆境に立ち向かう嫡子 (INFP)

エドガーは、グロスター伯の嫡子ですが、弟エドマンドの策略によって父から追放され、狂人を装って逃亡生活を送ることになります。彼の性格は、INFP(仲介者)の特徴とよく一致します。INFPは、理想主義的で、強い倫理観と正義感を持っています。また、内向的で、自分の内面世界を深く掘り下げることを好みます。

エドガーが父を欺いたエドマンドを憎む一方で、彼を殺すことをためらうのは、彼のINFPとしての倫理観葛藤を表していると言えるでしょう。彼は、苦難の中でも希望を捨てず、自分自身と向き合い、成長していく強さを持っています。

現代社会では、エドガーは、不正に立ち向かうジャーナリスト、あるいは社会の矛盾と向き合う作家や芸術家として、その強い信念と感受性を活かしているかもしれません。

7. エドマンド: 野心のために手段を選ばない私生児 (ESTP)

エドマンドは、グロスター伯の私生児であり、父の財産を手に入れるために兄エドガーを陥れる、野心的な人物です。彼の性格は、ESTP(起業家)の特徴と合致します。ESTPは、行動力現実的な思考を重視し、リスクを恐れずに挑戦することを好みます。

エドマンドが策略を巡らせ、権力と財産を手に入れようとするのは、彼のESTPとしての野心行動力の表れです。彼は、目的のためには手段を選ばない冷酷さを持っており、周囲の人々を巧みに利用します。

現代社会では、エドマンドは、大胆な戦略で成功を収める起業家、あるいは手段を選ばずに権力を握る政治家として、その能力を発揮しているかもしれません。

エドガーとエドマンドは、対照的な性格を持つ兄弟として描かれています。 エドガーのINFPは内向的で、倫理観を重視するのに対し、エドマンドのESTPは外向的で、現実的な利益を追求します。この性格の違いが、二人の対立をより劇的なものにしています。

8. ケント伯: リア王に忠実に仕える忠臣、変装して身を隠す (ISTP)

ケント伯は、リア王に忠実に仕える老臣ですが、リア王の誤った判断を諌めたため、追放されてしまいます。その後、変装してリア王に再び仕え、彼を守ろうとします。彼の性格は、ISTP(巨匠)の特徴と合致する点が多く見られます。ISTPは、現実的で、行動力に優れ、問題解決能力に長けています。

ケント伯がリア王を追放された後も、身分を隠して彼に仕え続けるのは、彼のISTPとしての忠誠心行動力の表れです。彼は、言葉よりも行動で示すタイプであり、リア王への忠誠を貫き通します。

現代社会では、ケント伯は、冷静な判断力と行動力で危機を乗り越えるレスキュー隊員、あるいは困難な状況下で的確な判断を下すパイロットとして、その能力を発揮しているかもしれません。

9. 道化: リア王に付き従い、辛辣な言葉で真実を突く (ENTP)

道化は、リア王に付き従い、彼を慰めながらも、辛辣な言葉で真実を突きつける存在です。彼の性格は、ENTP(討論者)の特徴と共通点があると考えられます。ENTPは、知的好奇心ユーモアに溢れ、権威や常識に疑問を投げかけることを好みます。

道化がリア王の愚行を皮肉ったり、社会の矛盾を風刺するのも、彼がENTPとして、真実を追求し、権力に屈しない姿勢を持っているからです。彼は、言葉の魔術師として、周囲の人々を翻弄しながらも、真実を照らし出す役割を担っています。

現代社会では、道化は、辛口コメンテーターや風刺漫画家、あるいは社会風刺を織り交ぜた作品を生み出すコメディアンとして、鋭い観察眼とウィットで人々を魅了しているかもしれません。

愛と憎しみ、狂気と再生:MBTIが照らす人間ドラマの深淵

MBTIを通して登場人物たちを分析することで、「リア王」は単なる老王の悲劇ではなく、愛と憎しみ、忠誠と裏切り、そして人間の愚かさと尊厳が複雑に絡み合い、破滅と再生を描く壮大なドラマとして立ち現れてきます。それぞれの性格タイプが、彼らの選択や行動にどのような影響を与え、どのような結末へと導いたのか。それを考察することで、私たちは「リア王」という作品から、人間存在の複雑さと人生の奥深さについて、改めて考えさせられるのではないでしょうか?

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読書意欲が高いうちに読むと理解度が高まります。

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