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自由海論

『グロチウスの自由海論』は、オランダの法学者ユーゴー・グロチウスによって1609年にラテン語で書かれた著作で、正式な題名は『海の自由について』(Mare Liberum)です。この書籍は、海洋が国家の独占に属さず、すべての国に開かれた自由な場であるべきだとする法理論を展開しています。

グロチウスがこの著作を書いた背景には、16世紀から17世紀にかけての大航海時代の中で、ポルトガルやスペインなどの海洋強国が新世界やアジアの貿易路を独占しようとした動きがありました。これに対して、オランダをはじめとする他国は、自由な海洋貿易の権利を主張しました。

グロチウスは、自然法と国際法の原則に基づき、海は自然の法則によって全人類の共有財産であり、特定の国家による支配や独占を許さない自由な場でなければならないと論じました。この思想は「海の自由原則」として、その後の国際海洋法の発展に大きな影響を与えました。

『グロチウスの自由海論』は、国際法の形成過程において重要な位置を占める文献であり、国際法学だけでなく、政治学、歴史学、海洋学など幅広い分野で研究されています。グロチウスのこの著作は、国際社会における自由貿易と公海の自由に関する基本的な理念を提供しており、今日においてもその価値は高く評価されています。