キリスト教綱要

『キリスト教綱要』（Institutio Christianae Religionis）は、フランスの神学者ジャン・カルヴァンによって初版が1536年にラテン語で出版されたキリスト教の神学的著作です。この書は、プロテスタント宗教改革の中心的な文献の一つとして広く認識されており、特に改革派キリスト教の信仰と教義の基礎を築いたとされています。

カルヴァンは、この著作を通じてキリスト教の信仰、教義、倫理について包括的に論じています。彼の目的は、キリスト教の真の教えを明らかにし、それを信じる人々がその教えに従って生きることができるようにすることでした。さらに、カトリック教会の腐敗と誤りを指摘し、聖書に基づいた純粋なキリスト教信仰への回帰を呼びかけています。

『キリスト教綱要』は全四巻から成り、神の知識、キリストの知識、恩寵による信仰生活、そして外部的手段や教会といった教えを展開しています。カルヴァンは、聖書を最高の権威として仰ぎ、信仰の教義を聖書から導き出す方法を採用しています。彼の神学は、予定説、人間の完全な堕落、神の主権、そして救いの確実性を強調することで知られています。

この著作は、カルヴァン自身によって何度か改訂され、最終的には1559年に完成版が出版されました。以来、『キリスト教綱要』は多くの言語に翻訳され、世界中の神学者、牧師、信徒に読まれ続けています。その深い洞察と神学的影響力は、プロテスタント信仰におけるカルヴァンの重要な地位を確立しています。