ホモ・デウス

『ホモ・デウス：明日の歴史』は、イスラエルの歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリによって書かれた書籍で、彼のベストセラー『サピエンス全史』の続編にあたります。本書では、人類の過去を振り返るのではなく、未来への展望を提示しています。ハラリは、過去数世紀にわたって人類が達成した圧倒的な科学技術の進歩が、今後どのように人間自身と社会を変革していくかを探ります。

ハラリは、「ホモ・サピエンス」としての人類が、自らを「ホモ・デウス」、つまり「神のような存在」に進化させようとしていると主張します。彼は、生物工学、人工知能、ロボティクスなどの技術が、人間の寿命を延ばし、疾患を克服し、さらには人間の能力を根本的に拡張する可能性を探ります。しかし、これらの技術革新がもたらす可能性は、同時に倫理的、社会的な課題も引き起こします。データ主導の社会、人間の意識や自由意志の再定義、経済的な格差のさらなる拡大など、これらの変化がどのように人類の未来を形作るかについて深く洞察します。

本書は、未来に対する楽観的なビジョンと警鐘を同時に鳴らしています。ハラリは、技術が人類に無限の可能性を提供する一方で、私たちが直面する選択とその結果について深く考えるよう促します。『ホモ・デウス』は、未来の人類がどのように自己を定義し、何を価値あるものと見なすのか、そして私たちがどのような「神」を目指すべきかについて、読者に質問を投げかける書籍です。