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ローマ建国史

『リヴィウスのローマ建国史』(原題:Ab Urbe Condita Libri)は、古代ローマの歴史家ティトゥス・リウィウスによって紀元前1世紀に書かれた歴史書であり、ローマの伝説的な建国から紀元前9年までの歴史を網羅しています。この膨大な作品は、当初142巻に及んでいたとされますが、現存するのはその一部に過ぎません。残された35巻はローマの初期史から紀元前9年までの出来事を詳述しており、特に初期の伝説や英雄たちの話はローマ文化の基盤となっています。

リウィウスの目的は、単に歴史を記録することだけではなく、ローマの市民に道徳的な教訓を提供することにもありました。彼は、過去の偉大な指導者たちの事例を通して、勇気、正義、節制などの徳を強調しました。そのため、『ローマ建国史』は歴史書としてだけでなく、道徳書としての側面も持ち合わせています。

リウィウスの記述は、ローマの起源と初期の拡張を理解する上で貴重な情報源です。ローマ王政時代の伝説的な王たちや共和政ローマの成立、対外戦争、社会的・政治的な対立などが生き生きと描かれています。また、ハンニバルとのポエニ戦争など、ローマが直面した重要な戦争の詳細な記述も含まれています。

しかし、リウィウスの作品は批判的な歴史分析というよりは、ローマの偉大さと理想を讃える作品として書かれているため、現代の歴史家はリウィウスの記述を他の資料と照らし合わせながら検証する必要があります。にもかかわらず、『リヴィウスのローマ建国史』は、古代ローマの歴史、文化、政治の理解を深めるために不可欠な資料であり続けています。