『金融資本論』はオーストリア出身のマルクス主義理論家、ルドルフ・ヒルファーディングによって1910年に発表された経済学の著作です。本書は、資本主義経済の発展段階において、金融資本がいかに形成され、資本主義の動態にどのように影響を及ぼすかを解析しています。
ヒルファーディングは、銀行資本と産業資本の融合を金融資本の根本と定義し、この融合が資本主義発展の新たな段階をもたらすと論じました。彼は金融資本の台頭が帝国主義の時代を生み出し、資本輸出や経済的領域の拡大、さらには国際的な政治的緊張関係の高まりにつながると主張します。こうした分析を通じて、ヒルファーディングは当時の世界経済と政治の構造を理解しようと試みました。
『金融資本論』は、マルクス経済学における重要な文献の一つとみなされており、特に帝国主義理論や金融制度の研究において広く参照されています。ヒルファーディングの分析は、レーニンの帝国主義論にも影響を与え、20世紀初頭のマルクス主義理論の発展に貢献しました。