『アウグスティヌスの告白』は、キリスト教の教父である聖アウグスティヌスによって書かれた自伝的宗教文学の傑作です。397年から400年にかけて成稿されたこの書籍は、アウグスティヌスの若き日の放蕩、彼の精神的な探求、そしてキリスト教への改宗に至るまでの道のりを描いています。この作品は、彼の内面的葛藤と神への深い愛と悔恨の情を率直に綴ったものであり、キリスト教思想だけでなく、西洋の文学と哲学にも大きな影響を与えています。
『告白』は全13巻から成り、初期の巻ではアウグスティヌスの人生の歴史が、後の巻では神学的および哲学的な考察が展開されます。特に有名なのは、彼の「時間」に関する深遠な考察や、神との個人的な対話形式を取り入れた独特の文体です。自己認識と自己超越をテーマに、彼は読者を内省の旅へと誘います。
この作品は、西洋文化における自叙伝ジャンルの先駆けとされ、後の多くの文学作品に影響を与えただけでなく、キリスト教徒だけでなく、幅広い読者にとっても精神的な探究の手引きとなっています。『アウグスティヌスの告白』は、人間の弱さと神の恩寵についての永遠の探求を、美しい言葉と深い洞察で綴った、時間を超えた古典です。