定義
「買います」という善意の答えは、財布の予告ではない。
新商品の構想を話すと、「いいね、買うと思う」と温かい答えが返ってくる。ところが、売り出すと売れません。あの答えには、目の前の相手を喜ばせたい優しさ、未来の自分への過大評価、値札も競合もない真空の場面という三つの成分が混ざっていて、市場の予測にはならないのです。
原則は一行です。未来の意見を聞くな、過去の事実を聞け。「買いますか」ではなく「最後に似たものを買ったのはいつ、いくらで、どこで」。過去の行動には財布も迷いも競合も全部込みで、優しさが入り込む余地がありません。同じ客層の5人ほどに深く聞くと、話が重なり始め、型が見えてきます。
聞き方は、直近の一回をきっかけ、比較、購入、使用の時系列でたどる一本道。構想を見せるのは最後の10分です。褒め言葉は数えず、すでに払ったお金や使った時間といった行動の証拠だけを、相手の言葉のまま記録する。聞く前より構想が変わっていたら、それが良いインタビューだった証拠です。
この概念の論点
14節- 「買います」は、なぜ当てにならないのか
- 未来の意見ではなく、過去の事実を聞く
- 誰に聞くか——友人の「いいね」は数えない
- 何人聞くか——5人で、十分始まる
- 頼み方——「売り込みではない」を先に言う
- 質問案は、「最近の一回」の時系列で作る
- 聞くが8割——沈黙と深掘りの技術
- 誘導は、無意識に起きる
- 褒め言葉は、聞き流していい
- 記録は、そのままの言葉で残す
- 聞いた事実を、どう使うか
- 顧客インタビューの、よくある間違い
- 明日、やる三つのこと
- まるごと実践——ある雑貨店主の一週間