## デュマの二十年後
ダルタニャンの野心と老い
二十年の歳月がダルタニャンにもたらしたものは、かつての勇敢な銃士隊長の面影を残しつつも、老いと権力への執着に囚われつつある姿でした。ルイ14世への忠誠心は揺るぎないものの、出世欲と現実的な思考が彼の行動原理となり、かつての純粋な正義感とは相反する選択を迫られる場面も描かれます。
アトスとダルタニャンの友情の変遷
三銃士時代からの固い絆で結ばれていたアトスとダルタニャン。しかし、二人の立場や価値観の違いが顕在化し、友情は次第に変化していきます。アトスはダルタニャンの権力志向に失望し、距離を置くようになります。二人の友情の行方は、物語全体の大きなテーマの一つとなっています。
体制側と反体制側の対立
ルイ14世の治世下、フランスは絶対王政の時代を迎えます。ダルタニャンは体制側に属し、王への忠義を貫きますが、一方では、反体制派の動きも活発化します。物語は、王権を巡る陰謀や策略が渦巻く中で、ダルタニャンたちの運命を翻弄していきます。
親子の確執と和解
ダルタニャンと、彼の実子であるラウルとの複雑な親子関係も重要な要素です。ラウルはアトスの養子として育てられ、高潔な騎士道精神を受け継いでいますが、ダルタニャンは息子に対する愛情を抱きながらも、素直に接することができません。二人の確執と和解は、物語に感動的な場面をもたらします。